小鳥遊葵(たかなしあおい)のブログ

主に短中超編の、埃をかぶっている小説を発表しようと思ってのブログです。よろしくお願いします。

3月11日。

 又この日がやってきた。安倍首相は東北復興元年に、と言ったそうだが、もう、あの日から五年経つ。

 被災した人々は、大なり小なり,全員、明日への羅針盤を破壊された日だ。そしてたくさんの人々が一瞬に命を失った日でもある。

 五年の節目だという。たしかにそうだが、思うに節目は1年ごとの今日一日ではない。日々、節目を実感する。毎日の節目。それを体感するごとに強靱になっているかと自らを問えば、決してそうではない。

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 ものの見事に破壊された、明日への羅針盤。それを復元させるためにはこの五年の時間ではまだまだ足りない。

 あの日は魚市場の駐車場で一晩過ごした。津波により、流されて市場に追突した船の喫水線が目の前にあった。市場が普通の建物のように外壁があったなら、おそらく津波は軽々と駐車場を襲い、流されていただろう。魚市場の一階は柱だけのがらんどうだから救われた。

 幸運だった。そう。単に幸運だったのだ。五年後のいまでさえ、そう思わずにはいられない。

 気仙沼の湾内から、大島で、炎が一直線に連なっていた。

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 風呂に入ったのは、震災から四十日後のことだった。住んでいる気仙沼ではなく、何とか給油できたお陰で、一関まで走り、風呂を求めた。

 ほぼ一ヶ月。電気が復旧するまでは毎日五時過ぎると布団に入るしかスベがなかった。ガスも止まっていたが、幸い、ストーブに使う灯油は残っていた。ストーブでお湯を沸かし、カップラーメンを喰っていた。

 パソコンが使えず、どうにか繋がった携帯で、編集担当者と相談し、震災前に添付で送っていた原稿を向こうで印刷してもらい、郵送で直しを繰り返して、何とか予定通り刊行できた。

 

 いろんなことが蘇る。もう、五年。いや、まだ五年。まだ明日へ進む羅針盤の修理は終えていない。

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