小鳥遊葵(たかなしあおい)のブログ

雑多なことを、気ままに書き連ねている「場」です。

2015-06-29から1日間の記事一覧

背中合わせ。(北日本文学賞一次玉砕作品)

普段は穏やかな太平洋を見馴れている眼に、車窓越しの牙剥き出しの海は、まるで行く手を阻んでいるようにも見えた。 窓側に坐る頼子は、走る電車に体当たりするように、あちこちで白く砕ける大波を見て、異次元の光景を眼にした子供のように、はしゃいだり、…

52歳の夜明け(北日本文学賞三次までしか残らなかった作品)

日々、滅入っていた。何もかもが気に入らない。ただ、パートではあるが、島に一つしかないマーケットで働いているときだけ、様々に降りかかる煩わしさから逃れられた。 狭い島の中での日常で、つねに周囲の評価を意識し、つくり上げた形を崩してはならないと…