赤面もの。
「つらつらと読み直し、直せるところは直してください」
そう担当に言われ、読み返してみたところ、一気に顔が引き攣った。
自分で書いていながら、こんなひどい原稿、これまで見たことがない。
冒頭から終章まですべてダメ。俺が編集者なら、即、作者もろとも切り捨てるような原稿だった。恥ずかしい。
それにしてもなぜ? 仕上げて送る際に何度か読み直し、あちこち修正した完成稿のはずだったのに、まるで誰かが差し替えたかのようなとんでもなくダメなモノだった。
これを数日で直す。今夜は店を信頼している人物にあずけ、夕方からはこの駄原稿修正に没頭している。
でも、担当、優しいね。
「つらつらと読み直し、直せるところは直してください」だなんて。
見直せば、全部だもの。
これまではこんなこと一度もなかった。ほぼ一発OKだったので、どこかに慢心があったのだろうか。いやいや、まだまだ慢心するほどの実績はない。
魔が差したのだ、きっと。おそらくこんなのでは、F新人賞に出しても一次すら無理だったろう。
よかったぁ、直す機会が与えられて。末席にいるとはいっても一応プロの端くれ。
自身、こんな恥ずかしい体験はなかった。 猛省!!!