北日本文学賞、受賞作品を拝読して。
驚いた。
今回の受賞作品を読み、正直「?!」だった。
たしかに上手い。感嘆する箇所は多々あった。だが、その感嘆した箇所が私には「?!」だった。
下読みの先生方、そして輝先生の選び方ーーというか嗜好、志向が変わったのだろうか。これほどに比喩、形容詞を多用した受賞作品の記憶がない。
作者は美しく? 書くことにとても腐心されているように思う。それが「これでもか」というほどの…のようなにあらわされている。
そして極め付きは、
>>軒端の雨垂れが地面に落ちるぐらいの時間が必要だった。
>>池の向こう岸の波が、こちらに届くくらいの時間が過ぎ去った。
この箇所だ。これは一見、違うようでいて、同じ表現だ。過去の輝先生なら切って捨てていた表現ではないだろうか。
最初は、一瞬、二番目は、数分過ぎ去った、だけでいい。
輝先生ならそう言いそうな気がしてならなかったが、今回は受賞作品に推した。
小説とは、そして人がする評価に接するとは難しいものだ。選考経過報告の文に於いても、そのあたりにも少し触れて欲しかった。
今日は部屋の机の上に無造作に活けていた蠟梅が咲いた。一つの短編が書けそうなほどに香ばしい。